葛西臨海水族園では、タチウオのいる「深海の生物」水槽でアカザエビを展示しています。きれいなオレンジ色をしており、ザリガニによく似たエビで、水深 200から 400メートルの砂泥底にすんでいます。
水槽の中のアカザエビはふだん、すりばち状に整えたくぼみの中や岩の下を掘り下げて作った巣穴でじっとしていることが多いのですが、水槽の砂の上を大きな2本のハサミを前にかざしながら歩いたりすることもあります。
アカザエビの名は、鮮やかな橙赤色の体色が植物のアカザの若い葉にある紅斑に似ているためですが、その体色は色味の乏しい深海の薄暗い水槽の中でもいいアクセントになっています。
アカザエビは底曳き網やカゴ等で漁獲され、身はやわらかく甘みがあって美味なため、高級食材としてあつわれ、欧米ではスキャンピの名前で呼ばれています。
岩の下に作ったアカザエビの巣穴を見てみると、顔を外にのぞかせている出入口のほか、うしろにもう一つ抜け穴があります。最近の潜水調査船の観察でわかったことですが、これは身に危険がせまったときの緊急脱出用の穴だそうです。アカザエビはいつでも逃げられるよう、巣穴の中から水槽の前のみなさんを見張っているのかもしれません。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 笹沼伸一〕
(2008年04月18日)
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