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新たな視点で見てみると(20)
顕微鏡で見る「鳴き砂」の正体
 └─2007/11/30

 先週の「番外編」でオーストラリア出張のネタは終わりにするつもりだったのですが、今週もオーストラリアで仕入れてきたネタをお送りします。今回の主役は、以前登場した「月」に引き続き、生物ではない「砂」です(こんなネタばっかで、担当者から怒られないかドキドキしてます)。でも、葛西臨海水族園から発行するメールマガジンとしては、「海」に関係している事ですから許してくださいね。

 私たちがリーフィシードラゴンを観察した場所の近くに、真っ白な砂浜の海岸がありました。日本では沖縄などに白い砂浜の海岸がありますが、沖縄の白い砂は、海中のサンゴの骨格が魚にかじられたり波に砕かれたりしてできた、炭酸カルシウムなどが主成分のものです。

 しかし、リーフィシードラゴンがすんでいる海は水温が17℃程度しかなく、白い砂浜を作るようなサンゴは生息していません。じつは、この真っ白な砂は「硅砂」と呼ばれる、水晶と同じ成分でできた砂なのです。

 この砂粒を顕微鏡で拡大してみると、一粒一粒が透明でとてもきれいです。うしろから光を当てると、透きとおっているのがよくわかります。この硅砂でできた砂浜のうち、汚れが少ないなど一定の条件を満たすと、歩いたときなどに音が鳴る「鳴き砂」の浜になるのです。オーストラリアのこの真っ白い海岸も、歩いてみると砂が「キュッ、キュッ」と鳴りました。

◎鳴き砂の動画

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〔葛西臨海水族園飼育展示係 三森亮介〕

(2007年11月30日)



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