葛西臨海水族園では2007年10月18日から、「世界の海」エリアの「カリブ海」の水槽でターポンを展示しています。
ターポンはイセゴイ科の魚で最大 2.5メートルにまで成長します。大西洋のサンゴ礁やマングローブ域などの比較的浅くて暖かい海に生息しています。マイワシをちょっと格好よくしたようなすがたをしていて、大きな口からもわかるように、おもに魚などを餌とします。
展示しているターポンは全長1メートルほどで、水族園開園当初(1989年)より裏側の予備水槽で飼育してきた個体です。ですから、水族園の歴史を考えると、年齢は少なくとも18才以上になります。しかし、最大体長が 2.5メートルということを考えると、さらに成長するわけですから、まだまだ何年も生きるのでしょう。
餌の魚を襲うときや、驚いたときなど、ターポンはよくジャンプをします。今回、裏側の予備水槽から担架ですくい上げるときにはジャンプを繰り返し、私の頭をかすめて行ったほどです。この「動きのよさ」からルアー釣りの対象魚としてもとても有名な魚です。
水槽では上の方をゆっくりと泳いでいて、体は銀色に輝き、とても威圧感があります。この水槽には、ターポンのほかに、サンゴ礁にすむさまざな小型の魚類も展示していますが、これらの魚類が食べられてしまわないのか、心配に思う方もいると思います。
しかし、よく見るとこれらの魚たちはサンゴからあまり遠く離れることなく、隙間から出たり入ったりしていて、ターポンが近づくと、すぐにサンゴの隙間に入ってしまいます。これは、実際の海で見られる行動で、今まで水槽の中では、敵がいなかったために見ることができませんでした。
このように、「食う、食われる」の関係を、「食われない」ようにしながら見せるのはとてもむずかしいことで、今後はこの微妙な関係が保てるように、観察を続けていきたいと思います。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 中村浩司〕
(2007年10月26日)
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