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水族園でくらして18年、長期飼育中の魚たち
 └─2007/10/05

 葛西臨海水族園は平成元年(1989年)に開園しました。今年(2007年)の10月10日は、18年目の記念日です。18年というとずいぶん長い年月のような気もします。

 さて、水族館で飼育している生き物たちの寿命はどれくらいあるのでしょうか? 飼育している私たちでも、多くの種の寿命はじつはよく分かっていないのが現状です。一般的に、野生でくらしている個体とくらべて、水族館では外敵に襲われる危険が少なく、また、餌も毎日のように十分な量を食べることもできるため、自然状態より長生きするものも少なくないようです。

 現在、水族園には、開園時からずっと以上飼育されている長生きの魚たちが何種かいます。その代表が、キンキャクダイのなかま3種、「世界の海」エリアの「紅海」の水槽にいるイエローバンドエンゼルフィッシュ、それと「カリブ海」の水槽にいるフレンチエンゼルフィッシュとグレイエンゼルフィッシュです。

 葛西臨海水族園は、上野動物園の開園 100周年の記念事業として、上野にあった水族館に代わって、この葛西に建てられました。これらのキンチャクダイたちのなかには、葛西臨海水族園の開園に向けて、上野の水族館で飼育されていた魚もいて、水族園の歴史をわれわれ飼育係よりも知っているのです。

 日常の世話をしているときにはあまり実感がないのですが、あらためて考えてみると「よく長生きしているな」と思います。いずれの魚も最大体長近くまで成長しており、水槽の中を悠々と泳ぐその堂々としたすがたには貫禄さえ感じます。「カリブ海」の水槽では、フレンチエンゼルフィッシュ、グレイエンゼルフィッシュとも、成魚とは模様が異なる幼魚をいっしょに展示しており、いずれ次の世代を担ってくれることでしょう。

 これまで展示を支えてきてくれた長生きの魚たちを、これからも大切に飼育していきたいと思います。

写真上:イエローバンドエンゼルフィッシュ
写真中:フレンチエンゼルフィッシュ
写真下:グレイエンゼルフィッシュ

〔葛西臨海水族園飼育展示係 笹沼伸一〕

(2007年10月05日)



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