特殊な撮影方法で、ふだん肉眼では見ることができない映像をおつたえする「新たな視点で見てみると」。前回までは葛西臨海水族園で見られる生物をモデルとしてお送りしてきましたが、簡単に撮影できるネタがなくなってきてしまいましたので、今回からは展示していないものにも枠を広げて行きたいと思います。
その初回はいきなり生物でもありません! 枠を広げすぎて宇宙にまで飛び出してしまいました。2007年9月25日は、いわゆる「中秋の名月」でした。みなさんはお月見をされましたでしょうか? 私は自宅のベランダからきれいな月を眺めていて、「これはネタに使えないかな」と思いついたわけです。
月面の暗く見える部分(いわゆる「ウサギのもちつき」のもよう)は「海」と呼ばれ、部分ごとにいろいろな名前が付いています。もちろん、海水をたたえた実際の海があるわけではなく、隕石の衝突で月内部の溶岩が流れ出してできたといわれる平らな地形が広がっています。今回は、この「海」を超望遠撮影で巡ってみました。
映像には、まず危機の海が映っています。そして、左上から「ウサギの顔」にあたる静かの海、その右手には「胴体」にあたる晴れの海が見えてきます。蒸気の海を通り越し、中央の入江、熱の入江を抜けて、左上に既知の海、右上にコペルニクス・クレーターが見えたところで、カメラが切り替わります。次の映像は、左手にティコ・クレーター、右手に雲の海が見える部分から始まり、病の沼を通り越して、右上を湿りの海がかすめます。卓越の湖と巨大なシッカルト・クレーターが見えたところで、映像はおしまいです。
【ビデオ:中秋の名月】
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月の満ち欠けは、海の生き物に大きな影響を与えています。満月や新月のときには、潮の満ち引きが最大になり、大潮と呼ばれる潮流が激しく動く状態になります。この潮流をねらって、生き物たちは多くの餌を食べたり、産卵をしすることがあるのです。水族園の水槽に満月の影響があるかどうかはわかりませんが、調べてみると面白いかもしれませんね。(次週はちゃんと生物の話題でいきたいと思います。)
〔葛西臨海水族園飼育展示係 三森亮介〕
(2007年09月28日)