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アマモの水槽にバックドロップをセットしました
 └─2007/08/03
 今回のテーマは生き物ではなく、水槽の舞台装置についてのお話です。みなさんは、「バックドロップ」という言葉をお聞きになったことがありますか?あまり耳なれない言葉ですが、英語の辞書を引くと、「舞台などで後方にたらす背景幕のこと」と説明があります。

 水族館では、水槽内側の壁に固定して背景として使われる薄いプラスチックのシートを「バックドロップ」と呼んでいます。もともとは、水族館先進国のアメリカなどで使われるようになったものです。

 水槽の内側がよごれたとき、展示生物を水槽から取り出して水を抜いたりしなくても、バックドロップだけを取り出して洗ったり、交換すればすむので大変便利です。

 このたび、「東京の海」コーナーの「アマモ場」水槽にバックドロップを設置しました。じつは、葛西臨海水族園でも少し前から小さな水槽にはバックドロップを利用し始めているのですが、やや大きな水槽に初めて導入したので、ご紹介します。

 この「アマモ場」水槽はこれまで掃除が大変で、飼育係泣かせの水槽でした。光や栄養分など、アマモという海草がよく育つような環境を作ってやると、たしかにアマモは元気に育ってくれます。でも同時に、ちょっと汚く見えるほかの雑藻類も競うように生い茂り、とくに壁は石灰藻という硬い海藻が生え、掃除道具でこすっても簡単には落とせなくなってしまうのです。

 このバックドロップを設置した翌朝、見まわりの警備員から、「あっ、この水槽、きれいになっている!」と声があがっていました。みなさんも水族園にいらしたら、すっかりきれいになった「アマモ場」水槽をぜひごらんください。

写真上:バックドロップ設置前(壁がきたない)
写真中:バックドロップ設置後
写真下:水槽の上部からみたところ

〔葛西臨海水族園飼育展示係 江川紳一郎〕

(2007年8月3日)



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