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チャレンジ! マグロの卵の観察
 └─2007/07/27
 大水槽で悠々と泳ぐ大きなマグロ。葛西臨海水族園の大水槽で観察することができるのは、この大きなマグロばかりではありません。今、なにかと話題の“眼力”(めぢから)。この眼力に自信のある方は、ぜひチャレンジしてみていただきたいのが、マグロのなかまの卵の観察です。大水槽では5種類のマグロとカツオのなかまを展示しています。そのうちのスマとハガツオが現在、産卵をしています。

 産卵は春から秋にかけて、ほぼ毎日おこなわれていて、今の時期は午後2~3時ごろに観察できることが多いようです。一尾のメスに対して複数のオスが後を追いかける「追尾」という行動が見られ、その後、メスが産卵、オスが放精します。この一連の行動を大水槽で観察することができるのです。

 しかし、この行動は一瞬で終わってしまうので、見逃してしまうこともあることでしょう。そんなときは、じっと目をこらして水槽の中を観察してください。あまり流れのないところで水槽の中をよく見るとと、直径約1ミリ、透明でまん丸な卵がたくさん漂っているのがわかります。一度発見できるとつぎつぎに流れてくるのがわかるでしょう。

 マグロの卵は、「分離浮遊卵」と呼ばれます。まさに文字通り一粒一粒がばらばらになっており、水中で浮いて漂っています。このように、卵を一度に大量に産むのが、子孫を残すための戦略なのです。

 飼育担当者は大水槽を毎日定期的にチェックし、何時ごろ産卵しているのか記録しています。また、大水槽にかぎらず、毎日水槽の卵をチェックすることで魚の健康状態を確認しています。健康であれば産卵が続きますが、病気が発生したりすると産卵は止まってしまいます。卵を観察することは、飼育係の重要な仕事でもあるのです。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 中村浩司〕

写真上:ハガツオの卵(直径約1.4ミリ)とスマの卵(直径約1.0ミリ)
写真下:ここがもっとも卵を見つけやすいポイント。水槽のどの部分かわかるかな?

(2007年7月27日)



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