本誌「ズー・エクスプレス」No.322(5月5日配信)で、葛西臨海水族園のコウイカの展示についてご紹介しましたが、その後、1組のコウイカのカップルが交接し、産卵を始めました。「東京の海」エリアの「東京湾にもいるこんな生物」水槽で観察できます。
「交接」とは、哺乳類でいう交尾のことです。コウイカでは、オスとメスが脚をからませてくっついているように見えます。 交接の際、オスは精子の入ったカプセルを「交接腕」(こうせつわん)と呼ばれる特殊な脚でメスにわたします。やがてメスが産卵を始めると、体にくっついたカプセル内の精子と受精します。
卵を産みつける場所として、水槽内にはプラスチック製の海藻をぶらさげていますが、今のところ利用されていないようです。一方、底の砂の上には、砂をまぶしてカモフラージュさせた、直径約1センチの小さな卵が落ちているのが見られます。
卵は約1か月で孵化し、稚イカが生まれてきますが、産卵を終えた親コウイカは、稚イカの成長を見ることなく死んでしまいます。やがて孵化する稚イカを大事に育て、親コウイカとして皆さんに紹介できるよう、がんばります!
〔葛西臨海水族園飼育展示係 鈴木聡子〕
写真上:コウイカのペア
写真下:交接するコウイカ
(2007年5月18日)
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