「ホースシューレザージャケット」──どんな生き物かごぞんじですか?英名をカタカナ読みにした、舌をかみそうに名前の長いこの魚は、葛西臨海水族園「オーストラリア南部」の水槽で展示しています。日本語に訳すと、「馬のひづめプリント入り革ジャン」(?)。オーストラリアの南側の海に分布する、カワハギのなかまです。
ホースシューレザージャケットは日本のカワハギより大きく、全長40センチほどになります。何よりの特徴は、からだの模様と色合いです。
目をひくのは、体の両側にある、馬蹄に似た「Uの字」模様です(写真上)。まるで馬にけられた跡のようなきれいなUの字を見ると、「ホースシュー」(馬蹄)という名に「なるほど!」と感心されるのではないでしょうか。
体の表面は「つるり」とした質感で、本当に革ジャンを着ているように見えます。そして黄色や青色をとりまぜた体色をしており、なかなか美しい魚だと私は思います。
日本のカワハギの体色が茶色い地味な色であることに比べると、同じなかまとは思えないかもしれません。形こそ日本のカワハギとよく似ていますが、ホースシューレザージャケットの色彩を見ていると「世界には同じ種類でも、いろんな魚がいるんだなあ」と魚の多様性を感じつつ、今日も世話をしています。
「オーストラリア南部」の水槽には、フグのなかまをはじめ、動きのゆっくりした魚を中心に展示しています。ホースシューレザージャケットは泳ぐスピードやパワーも他の魚とは段ちがいで、ときには他の魚を追いまわすすがたも見られます。えさは1日1回だけ与えているのですが、他の魚を押しのけながら食べに来るホースシューレザージャケットに横取りをさせないよう、気をつけてえさを与えるのはなかなか大変です。
〔葛西臨海水族園飼育展示課 木船崇司〕
(2006年8月18日)
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