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渚の水槽でウミタナゴ誕生──2006/06/23
 葛西臨海水族園の「渚」の水槽で、春先からおなかの大きかったメスのウミタナゴから子どもが産まれました。現在、親のウミタナゴやマダイ、クロダイ、カゴカキダイなど、ほかの魚といっしょに元気に泳ぐすがたが見られます。

 ほとんどの海水魚は、たくさんの卵(なんとマンボウは2~3億個!)を産みっぱなしにします。親が世話をしない種類がほとんどで、卵や孵化した稚魚の多くは、ほかの魚などに食べられてしまいます。

 数で勝負するこの戦略だけではありません。たとえば、一度に産むのではなく、数回にわけて産んだり、海流を利用して広い範囲に卵がちらばるようにしたり、さまざまなくふうをしています。

 一方、ウミタナゴの卵は母親のおなかの中で孵化し、5~6か月後、親と同じかたちに育ってから生まれてきます(このように子が母体の中であるていど発育してから産まれることを「胎生」[たいせい]といいます)。ウミタナゴのなかまは北太平洋の西(日本側)に3種、アメリカ側に20種がいて、すべて胎生です。ウミタナゴの場合、一度に生まれる子の数こそ少ないですが、おなかの中で親と同じかたちにまで大きく育てげることで、子どもの生存率を高めているといえるでしょう。

 ウミタナゴの親の全長は20~30センチくらいですが、稚魚の全長は6センチくらいです。一般的な海産魚の稚魚の大きさが3ミリ前後なので、じつに約20倍の大きさ! 1尾のメスから10尾から30尾、多いときは50尾以上生まれます(最高記録は86尾)。稚魚は産み出されるとすぐに泳ぎ始め、自力でえさを探し始めます。

 葛西臨海水族園でかわいらしいウミタナゴの稚魚が泳ぐすがたを探してみてください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 江川伸一郎〕

(2006年6月23日)



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