北アメリカの西海岸や南太平洋沿岸などで見られるジャイアントケルプは、長さ60メートル以上にまで成長する世界最大の海藻と言われています。こんなに大きいと、からだも重たくなりますが、どうして海の中でまっすぐ上に立っていられるのでしょうか。

まっすぐに立つジャイアントケルプ
それにはジャイアントケルプがもつ二つのからだのつくりが役立っています。一つ目は、根元にある「仮根」(かこん)です。細かい網目状をした仮根は、同じ海藻であるコンブやワカメのそれと同様に、岩の表面を放射状に広がり、自らをしっかりと固定することで、波に流され倒れるのを防いでいます。しかし、陸上の被子植物などの根とはちがって、栄養や水分を吸収することはできません。
二つ目は、「気胞」です。気胞は風船のようなかたちをしており、中は空洞です。葉の付け根に一つずつついていて、中には呼吸や光合成によって自分でつくり出した気体が入っています。これが海中で浮力となり、長く重いからだをまっすぐ立てることに役立っています。

気胞の断面
このようにジャイアントケルプは気胞の浮力で上へと持ち上げられ、仮根で岩にしっかり固定されているので、波に揺られながらも倒れることなく立っていられるのです。
葛西臨海水族園ではこのジャイアントケルプを「海藻の林」水槽で展示しています。来園の際にはその大きさだけではなく、今回紹介したようなつくりにも注目しながら、ジャイアントケルプを観察してみてください。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 八木花乃香〕
(2020年04月24日)