葛西臨海水族園東京の海エリアにある「タッチン&フィーリン」の小型水槽は、さまざまな生き物を間近にじっくり観察することができる水槽です。
この水槽には、砂の上で逆さになっている「サカサクラゲ」やヒトデを好んで食べる「フリソデエビ」など、一風変わった姿や生態をもつ生き物も展示しています。
今回はその中で、「カラッパ」を紹介します。カラッパ類はカニのなかまで温帯・熱帯海域に分布し、約70種が知られています。水族園ではマルソデカラッパという種を観ることができます。
カラッパ類の特徴の一つは体の形です。ふだんは体の下半分を砂の中に潜らせてじっとしていることが多く、上から覗くとお饅頭のような半球状の丸い体をしているのが分かります。カラッパとはインドネシア語で「ヤシの実」のことです。名前はその丸い形から付けられました。
もう一つの特徴はハサミの形です。もし、砂から出て歩き回っている姿を見かけたら、水槽の横からカラッパを観てみましょう。右のハサミのつけ根には大きな突起があります。この突起は巻貝の殻を割るのに役立ちます。水族園ではふだんカラッパにイカやエビの切り身を与えていますが、試しに巻貝を与えてみると、ハサミのつけ根の突起に殻を引っかけそこを支点にして、缶切りのようにして貝の殻を割り、中身を食べ、貝の殻をバラバラにしてしまいました。
「タッチン&フィーリン」の小型水槽は2014年4月8日まで観察することができます。カラッパをはじめいろいろな生き物を、上から横からじっくり観察してみてください。新たな発見がありましたら、ぜひ私たちにも教えてください。
写真上:マルソデカラッパ(オスがメスを交尾前にガードしているところ)
写真下:はさみ脚
〔葛西臨海水族園飼育展示係 齋藤祐輔〕
(2014年03月14日)
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