葛西臨海水族園世界の海エリアの「インド洋」水槽で、イシヨウジを展示しています。イシヨウジはトゲウオ目ヨウジウオ科に属し、サンゴ礁などの暖かい海にすむヨウジウオのなかまです。
まず、「インド洋」水槽の砂の上をよーく探してみてください。
10センチほどの細長い生物を見つけたら、それがイシヨウジです。口は細長くとがり、尾びれは丸い形をしています。体色は白っぽいものや黒っぽいものがありそこに白や黒が絡み合った模様が入って、一見地味な色合いに見えますが、よく見ると体中にとても細い赤い線、口と尾びれにはピンク色が入っていて、なかなかきれいな魚です。こうした色や模様により、イシヨウジは砂地や岩の上などにいるとまったく目立ちません。かなりの時間じっとしているので、見過ごさないよう、要注意です!
イシヨウジを見つけたら、しばらく見守ってください。水槽の中では、たいてい砂の上でじーっとしていますが、ときどきまるでヘビのように体をくねらせながら海底を這うように移動します。そして、またすぐにじっとして動かなくなりますが、眼だけは別々に動かして周りを見回しています。
ふだんはできるだけ動かず砂地にまぎれて餌に気づかれないようにし、餌が近づいてくると筒状になった口で水ごと吸い込んで食べます。水槽では、1日に数回プランクトンを与えています。
食事以外の時でも移動を繰り返し、数尾が近づいてお互いを観察するような行動が見られます。さらにもっと近づいて体を絡ませたりするところも見られます。
イシヨウジはペアを作って繁殖するのですが、こうしてふだんからペアの間でコミュニケーションを取ることで産卵のタイミングを探っているようです。イシヨウジはオスがお腹の窪みに卵を付けて孵化するまで守るのですが、2014年1月には、水槽でもオスが卵をもっているのが観察されました。無事に産卵のタイミングを合わせることができたようです。残念ながら、今回はオスが卵を途中で落としてしまいましたが、次回はバックヤードで孵化させ稚魚の育成にチャレンジしたいと思っています。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 木船崇司〕
(2014年02月14日)
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