葛西臨海水族園東京の海エリアの「漁業」水槽で、2013年12月4日から「イボダイ」の展示を始めました。相模湾の定置網漁でとれた個体で、当園での展示は初めてです。
イボダイは、日本では北海道から九州の沿岸で見られ、成長すると全長20センチほどになります。東京や静岡では「エボダイ」とも呼ばれ、塩焼きや煮付け、干物など、食用としてもなじみの深い魚です。
うろこがはがれやすく体表から多量の粘液を出すため、水槽内での飼育が問題なくできるか心配しましたが、すぐに落ち着いて泳ぎ、翌日には餌を食べるところも確認できました。体の大きさの割に口が小さいので大きな餌を食べることができないようです。そのため、餌の大きさには注意を払っています。
イボダイの幼魚は、表層を漂うクラゲ類の傘の下について生活することが知られています。クラゲはイボダイの餌になりますが、それだけでなく触手には毒をもつ刺胞があるのでそこに隠れることで、身を守る役にも立っているのでしょう。成魚になるとクラゲから離れ、深場へと移ります。
今回展示したイボダイは全長15センチほどです。横から見ると卵のような体型に丸みを帯びた顔は、どこか愛嬌があり目が離せません。初めての展示ということもあり、これから水槽内でどんな動きが見られるか、顔とともに日々注目しています。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 戸村奈実子〕
(2013年12月20日)
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