ニュース
とげの使い方はさまざま
 └─2013/10/18

 葛西臨海水族園東京の海エリアの「伊豆七島の海2」水槽には、テングダイやニザダイ、ミノカサゴなど多くの魚がいますが、今回はその中でキンチャクダイのなかまの「サザナミヤッコ」を見てみましょう。

 生き物はそれぞれの生活スタイルに合った身の守り方をし、中には武器をもつものもいます。ミノカサゴのひれのとげやニザダイの尾びれの付け根にあるとげなどもその一つです。

 今回ご紹介するサザナミヤッコにも左右のえらぶたの下側に後ろ向きの鋭いとげが一本ずつあります。このとげを使ってどうやって身を守ると思いますか。

 サザナミヤッコを含むキンチャクダイのなかまは敵に襲われると、狭い岩の隙間などに逃げ込み、えらぶたをガッと広げます。するとえらぶたの下にある鋭いとげが岩肌にひっかかり、引っ張り出そうとしてもちょっとやそっとでは出せません。

 また、もし大きな魚などに丸飲みにされたとしても、その魚の口やのどにとげが引っ掛かり、痛い思いをさせることになるでしょう。襲った方は二度とキンチャクダイを襲わなくなり、仲間や子どもたちを守ることになるかもしれません。

 そのほか仲間同士のけんかでもこのとげを使うようで、さまざまな使い方があるようです。

 水族園には、サザナミヤッコのようなキンチャクダイ科の魚をたくさん展示しています。世界の海エリアの「カリブ海」水槽にいるフレンチエンゼルフィッシュやグレイエンゼルフィッシュなどは、とげを目立つ色にして「おれは怖い武器をもっているぞ」と言わんばかりにアピールしています。これは、武器を目立たせることで無用な争いを避け、身を守っていると考えられています。

 キンチャクダイ科のなかまは、このように鋭いとげをもっているものが多いので、○○エンゼルフィッシュや、○○ヤッコという名の魚を見たら、えらぶたの下側に注目してみてください。

写真上:サザナミヤッコ
写真下:えらぶたのとげ

〔葛西臨海水族園飼育展示係 浅野晃良〕

(2013年10月18日)



ページトップへ