ニュース
ひげとひれすじで海底を探索、深海魚キホウボウのくらし
 └─2013/09/13

 まだ暑い日が続いていますが、葛西臨海水族園で、周りが薄暗く気分的に少し涼しく感じられる「深海の生物」の水槽では、キホウボウを展示しています。

 水槽の底のほうにいて、ヨロイを着たような体をもち、長く伸びた2本の口先の根元の左右からは植物のひげ根のようなひげが生えている、とても変わったかたちの魚です。キホウボウは本州中部以南、東シナ海の深い海にくらしています。

 キホウボウを見ていると、ほかの魚とは違った動きかたをするのに気が付くかと思います。胸びれの前には足のように見える数本のひれすじがあり、それを上手に使って水槽の底をはうように歩くことができます。このひれすじは胸びれの一部で、普通の魚はひれを動かして泳ぎますが、キホウボウはひれを歩くことにも使う魚です。またキホウボウは少し早く動くときには、尾びれを左右に振って前進を助けることもあります。

 キホウボウのひげやひれすじには、味蕾(みらい)という味を感じる器官があり、ひれすじで歩きながら、ひげを海底に近づけて餌を探り、見つけた餌を捕食しながらくらしています。このような方法は、深海という暗い海の底で餌を探すのに都合がいいのでしょう。

 キホウボウを展示している水槽は、ちょっと見ただけでは薄暗く、生き物の動きも少なく、寂しい印象をもたれるかもしれませんが、よく観察すると、面白い生き物が見つかる水槽ですので、ぜひ探してみてください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 笹沼伸一〕

(2013年09月13日)



ページトップへ