葛西臨海水族園の「渚の生物」水槽ではマダコを展示しています。マダコはもっともよく知られているタコのなかまで、日本では常磐と能登半島以南の各地に生息しています。昼間は岩のすき間などに身を潜め、夜になると獲物を求めて動き出します。
「渚の生物」水槽は水量220トンという大きな水槽です。マダコ以外にドチザメやネコザメ、マダイ、カワハギ、ボラなど多くの生き物が同居しています。水槽には隠れ家として穴の開いた岩やタコつぼを入れてあるので、タコを探すときは、隠れ家を探すことがポイントです。隠れ家をのぞいていくと、おそらく中にすっぽりはまったタコを見つけることができるでしょう。
水槽内を見まわすと、フタのついたビンが沈んでいるのが目に入ります。これはタコにえさを与えるための道具です。学習能力の高いタコは、トレーニングをすればビンのフタを開けることができるようになります。えさを入れてフタをしたビンはタコにしか開けられないため、他の生き物にとられる心配がありません。この方法で、大きな水槽でも確実にタコにえさを与えることができるのです。
現在、水槽にいるマダコは、午後のえさの時間になるとよく姿を現します。フタを開けるところを間近でご覧になる方も多いようです。ただ、慣れてきたのか、最近はビンに入っていないえさにも近寄ってきます。大きな魚が近くにいることもあり、タコの方が食べられないかとヒヤヒヤしますが、さすがそこはタコ。体の色を変えたり、体を大きく見せるかのように腕を広げるなど、油断なく行動しています。
水族園では2013年9月3日まで、
企画展「I am TAKO──ツボにはまるタコの不思議」を開催しています。魅力たっぷりの「タコ」について紹介していますので、どうぞお見逃しなく。
写真上:トレーニング中のマダコ。フタを開けようとしている
写真下:卵を保護しているマダコ。「渚の生物」水槽にて
〔葛西臨海水族園飼育展示係 戸村奈実子〕
(2013年08月23日)