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寒いの? 翼を震わせるペンギンたち
 └─2013/05/31

 寒いところでくらしているイメージが強いペンギンたちですが、その生息地は、南極大陸から赤道直下のガラパゴス諸島まであり、寒冷地ばかりではありません。

 葛西臨海水族園では4種のペンギンを飼育していますが、そのうちフンボルトペンギンは、チリやペルー、フェアリーペンギンはオーストラリアやニュージーランドといった温かい国々でくらすペンギンなので、気温が高い今ぐらいの時期からは、暑さに強いこの2種のみを展示しています。

 ところで、太陽が照り付ける天候の中、まるで寒いのかと思うよう翼をプルプルと震わせているペンギンたちを見かけることがあります。それも、魚を食べ終えた直後に限ってのことです。たくさんの方々から「寒いの?」「怖いの?」という心配の声をもらうようなこの行動は、いったい何なのでしょうか? 

 観察してみると、お腹をぷっくりと膨らませゼエゼエ苦しそうな呼吸をしていることも多く、どうやら羽を震わせるこの行動は「食べ過ぎた!もう食べられない!」という表現のようなのです。周りのペンギンたちに負けまいと必要以上にたくさんの魚を胃に詰め込んでしまったペンギンが見せる何とも不思議な行動です。

 今展示している2種のペンギンは、これから1年に1回の換羽期(羽毛の生え換わる時期)を迎えます。多くのエネルギーを消費する換羽期に向けて、ペンギンたちは体にたくさんの脂肪を蓄えようと、競い合うように魚を食べ始めます。プルプルと翼を震わせる行動が見られたときには心配せずに「たくさん食べられたんだなあ」とごらんいただければ幸いです。

写真上:満腹のフンボルトペンギン
写真下:フェアリーペンギンもお腹いっぱい

〔葛西臨海水族園飼育展示係 山本達也〕

(2013年05月31日)



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