自然の中には私たちの好奇心を刺激するたくさんの不思議があります。葛西臨海水族園では、第一線で活躍する研究者や水族園の職員が、海や川の環境や、そこにくらす生き物のおもしろさを、またそれらを探求し、研究することの楽しさを紹介する、高校生向けの講座
「海の学び舎」を開催します。
第1回目は前半での前半は講師の方と水族園職員のお話、後半ではお茶を飲みながら参加者も交えた談話会を予定しています。
今後、第2回目を9月、第3回目を11月に予定しています。
日時 2013年6月2日(日) 13時30分~16時
場所 葛西臨海水族園 本館2階 レクチャールーム
対象 高校生
定員 30名
参加費 500円(飲み物、お茶菓子などの実費分)
内容
1.「新種発見とクニマス発見─その科学的方法─」
講師/中坊 徹次氏(京都大学教授)
【要旨】
新種とは誰も見たことが無い生物ではなく、学名が与えられていない生物です。数年前、高知県以布利漁港で採集したカマスの仲間が新種でした。このカマスは付近の家庭で食に供されていた魚だったのです。これを新種であると結論付けた科学的方法を述べ、クニマス発見の方法と重ね合わせます。用いた研究方法は同じなのです。どちらも科学的発見であり、研究方法と結果を述べた論文によって誰にでもわかるようにします。学界に未知の生物の正体を明らかにすることに対して鑑定という美術品に使用される言葉を適用するのが妥当ではないことも述べます。
【プロフィール】
1949年京都府生まれ。 京都大学大学院農学研究科博士課程修了。農学博士。京都大学総合博物館・京都大学大学院農学研究科教授。 平成17・18年総合博物館長。専門は魚類学。幼少の頃から魚好き。記載した魚類の新分類群は1科10属35種1亜種。魚類の分類や分布、進化についての研究を行っている。また、博物学史についても興味を持ちダーウィン『種の起源』をゴールに設定した講義も行っている。主な編著書に『日本産魚類検索全種の同定、第三版(東海大学出版会、2013年)がある。2010年に山梨県西湖から絶滅魚クニマスを発見。本をこよなく愛する。
2.「ベラの生物リズムを探る─実験行動学的アプローチ─」講師/西 源二郎(葛西臨海水族園園長)
【要旨】
「魚は眠るのですか?」と聞かれることがよくあります。魚によって違うのですが、ベラの仲間には夕方になると砂の中で眠る習性を持つ魚がいます。このような魚は、暗くなると砂にもぐるのでしょうか、それとも決まった時間になるともぐるのでしょうか。1日中同じ条件にしていても、決まった時間になると活動するような現象を生物リズムと言います。照明条件を変えてベラ類を飼育し、その行動がどうなるか実験しました。その実験結果から、ベラ類の生物リズムについてお話します。
応募方法
往復はがき、またはEメールで下記のとおりお申し込みください。応募者多数の場合は抽選をおこない、当落にかかわらずお知らせします。
<往復はがき>
希望者全員の氏名(ふりがな)・年齢、代表者の住所・氏名・年齢・電話番号を明記し、返信面に代表者の住所・氏名を記入のうえ、下記あて先までお送りください。
【あて先】〒134-8587 江戸川区臨海町6-2-3
葛西臨海水族園「海の学び舎」係
【締 切】2013年5月27日(月)消印有効
<Eメール>
manabiya@tokyo-zoo.net あてに、件名を「海の学び舎」とし、本文に希望者全員の氏名(ふりがな)・年齢、代表者の住所・氏名・年齢・電話番号を記入してお送りください。
※お申し込みの際は、@tokyo-zoo.netからのインターネットメールを受信できるよう、迷惑メールフィルターやメールソフトを設定してください。(特に、携帯電話からお申し込みの方はご注意ください。)
【締 切】2013年5月27日(月)送信分まで有効
写真上:クニマス(写真提供:京都大学)
写真中:イブリカマス(写真提供:京都大学)
写真下:ホンベラ(撮影:葛西臨海水族園)
(2013年04月25日)