葛西臨海水族園東京の海エリアにある「伊豆七島の海3」水槽には、チョウチョウウオのなかまのトゲチョウチョウウオがいます。
トゲチョウチョウウオには、前と後ろに目があります。目といっても、前は頭にある本物の目ですが、後ろの目は背びれにある模様です。この目玉模様には重要な意味があるのです。
頭にある本物の目は、上から下へ向かう黒い帯に隠れて目立たないのですが、一方の「後ろの目」は黄色っぽい背びれの上部にありよく目立ちます。この模様は、敵から身を守ることに役立っているといわれています。
トゲチョウチョウウオを襲おうとする敵は、本物の目ではなく背びれにある目玉模様を「目」だと思って攻撃するかもしれません。もちろんトゲチョウチョウウオも攻撃されれば逃げますが、敵の動きが素早く逃げられなかったとしても、攻撃されるのが背びれの目玉模様なら、致命傷にはならないでしょう。
また、目だと思っていたら、予測と反対方向に相手が逃げたりすると敵は戸惑います。そんなわずかなすきに逃げることができればしめたものです。
目玉模様の役割は、このトゲチョウチョウウオのように「だまして」身を守るだけではありません。シラコダイなどのように、大きな目玉模様が夜現れるチョウチョウウオのなかまがいます。この場合、同じ目玉模様でも大きな生き物に見せかけることで「おどかして」身を守ると考えられています。 みなさんも、水族園で目玉模様を探してみませんか。
〔葛西臨海水族園飼育展示課 浅野晃良〕
(2013年02月22日)
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