葛西臨海水族園「東京の海」エリアの実験展示コーナーで、ヒトデの展示を始めました。これまで水族園では、屋外にある「しおだまり」水槽でヒトデを展示していましたが、夏場の高い水温に弱いことなどからしばらく展示を中止していました。
ヒトデは「キヒトデ」や「マヒトデ」ともいわれ、ヒトデのなかまの中でもよく知られている種なので、通年展示したいと考えていました。
実験展示コーナーで展示したのには、もう一つ理由があります。ヒトデのちょっと変わった餌の食べ方を紹介したかったためです。ヒトデは海底にいる貝や死んだ魚、カニなどを餌にしています。
今回新たに水槽のガラスに特別なくふうをしてみました。小さなケースがガラスにくっついていて、中には餌のサクラエビを入れています。ヒトデがケースに覆いかぶさっていて、餌のまわりに膜のようなものが見られたら、それはヒトデの食事中の場面です。
ヒトデの口はお腹側の真ん中にあります。餌を食べるときは、胃を反転させて口から体の外に出し、餌を包み込んで、消化、吸収します。このような食べ方なら、口に入らないような大きさのもの、岩のすきまや砂の中にかくれているものまで食べることができます。
ヒトデの食事風景は、「しおだまり」コーナーで以前から見ることができましたが、スタッフがいるときのみに限られていました。
今回はヒトデの数や餌を入れるタイミングなどをくふうし、常に胃を出している状態を保てるようにしていますので、より多くの方に見ていただけるようになっています。
写真上:マヒトデ
写真中:ヒトデの水槽
写真下:反転した胃
〔葛西臨海水族園飼育展示係 戸村奈実子〕
(2012年12月21日)
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