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海鳥のプール清掃
 └─2012/12/14

 2012年11月7日、葛西臨海水族園で飼育している海鳥のなかまエトピリカとウミガラスをすべて捕まえ、プールの掃除をおこないました。その際、併せて今年生まれた幼鳥の性別を判定したり、個体識別のための足環を付け直したりしました。今回はその作業をご紹介しましょう。

 捕獲前夜からプールの水を抜き、翌日の朝一番で鳥たちを素手で捕まえます。エトピリカやウミガラスは、ハトなどとはちがって、その場からいきなり飛び立つことはできず、飛ぶときには水面で助走を付けたり、崖から飛び降りたりして勢いをつけて飛び立ちます。そのためプールの水がなくなると、簡単に手で捕まえることができるのです。

 しかし、エトピリカは要注意です。あのガッシリしたくちばしで噛まれると、泣きたいくらい痛いので、噛まれないように気を付けて掴みながら、素早く1羽ずつ箱の中に入れます。

 続いてプールの掃除です。半年に一度おこなうので、擬岩には頑固な汚れやコケが付着していて、きれいにするにはなかなか根気のいる作業になります。

 掃除の後は、全個体の体重を量り、ウミガラスの足環を取り替えました。エトピリカの足環は次回3月に取り替える予定です。

 今年生まれのウミガラス2羽とエトピリカ2羽は、性別検査のために採血し、さらに個体識別のためのマイクロチップを埋め込みました。個体識別のためには足環を付けていますが、外れたり退色してしまったりすることがあるので、より確実な方法としてマイクロチップも埋め込みます。

 体重測定や足環の付け替えが終わった海鳥は、順次展示場に放します。プールに入った海鳥たちは、すぐに羽の手入れを始めました。飼育担当者に触られたため羽が乱れたのですが、入れられた箱の中ではスペースが限られていて、十分な羽づくろいができなかったのでしょう。

 プールの掃除は、海鳥の安全上捕獲する必要がありますが、海鳥にとってはストレスになるため、頻繁におこなうことができない作業です。

 きれいになったプールで泳ぐ海鳥とともに、みなさんのご来園をお待ちしています。

写真上:エトピリカのガッシリしたくちばし
写真中:プール清掃
写真下:幼鳥の採血

〔葛西臨海水族園飼育展示係 古橋保志〕

(2012年12月14日)



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