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ペンギンたちが草むしり?
 └─2012/10/26

 フンボルトペンギンの生息地を再現した葛西臨海水族園「ペンギンの生態」展示場では、夏になるとゴツゴツした岩の間にたくさんの草が生い茂りますが、冬を迎えるころには、跡形もなくきれいさっぱり姿を消してしまいます。いったいあの草はどこに行ってしまったのでしょう?

 コツコツと草むしりをしていた働き者の正体は、飼育係ではなく、なんとフンボルトペンギンたちです。

 葛西臨海水族園のフンボルトペンギンは、1年に1回、夏に全身の羽毛が生え換わる換羽期が終わると繁殖の季節を迎えます。フンボルトペンギンは、巣の材料となる枯れ草などを集めては巣の中に敷き詰めて、卵を産む準備をします。秋には、くちばしで枯れ草を引き抜いては何度も何度も巣穴との間を行き来して、せっせと枯れ草を集めるようすを見ることができます。

 ところが、すべてのフンボルトペンギンがコツコツと巣材を集めるわけではありません。ずるがしこいペンギンは、こっそりほかのペンギンの巣に忍び込んでは、せっかく集めた枯れ草をくわえて自分の巣にもち帰ってしまいます。中には、餌の時間に家主が居なくなるのを狙って忍び込む者もいるほどです。しかし、時には帰ってきた家主とバッタリ鉢合わせしてしまい、大喧嘩の末に追い返されてしまうこともしばしばです。

 これからは水中だけでなく陸上でも動き回るペンギンたちをよく観察できる季節です。ふだんとは少し違った姿をどうぞお楽しみください。

写真上:夏、草の生い茂る展示場
写真中:秋、草むしり開始
写真下:草むしりの成果

〔葛西臨海水族園飼育展示係 山本達也〕

(2012年10月26日)



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