私は今、「海洋研究開発機構」(JAMSTEC)の無人探査機「ハイパードルフィン」を使用した深海調査のため、海洋調査船「なつしま」に乗船しています。今回の深海潜航はいつもの調査研究とは違って、JAMSTEC広報課が主体となっておこなう広報用映像素材撮影および展示用サンプルの採取を目的としています。その名もKOOHOO航海(KO-OHO-O:Key Observation and Outreaching of Hidden Ocean and Organisms《海と生命の謎の観察とアウトリーチ》)。この航海では水族館、博物館の職員が調査に参加することによって、より効果的な広報活動の展開を目指しています。
潜航した場所は千葉県野島崎沖の水深1500メートルのポイント。海の底にある谷「海底谷」にそって調査をおこないました。この地点は今までに一度も潜水艇が調査をしていないということで、何が見られるかワクワクしていましたが、海底の崖にたくさんの付着生物が生息していたり、陸上から流れ込んできたとみられる大量の空き缶などのごみが見つかったりと、なかなか興味深い場所でした。
潮流が速かったり、海上の風向きが悪かったりなどして、思ったようにサンプルは採れませんでしたが、まるでクリスマスツリーのようなソフトコーラルの根元にコシオリエビのなかまが2匹いる映像など、なかなか面白いシーンも撮影することができました。
写真上:無人探査機「ハイパードルフィン」
写真下:まるでクリスマスツリー?
*協力:
独立行政法人海洋研究開発機構[JAMSTEC]
*船上からのメール容量の関係で、今回の「続・新たな視点で見てみると」は、静止画のみの「号外」としてお伝えします。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 三森亮介〕
(2012年08月24日)