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出てくるようになったイシガキフグ
 └─2012/06/15

 葛西臨海水族園東京の海エリア「伊豆七島の海2」の水槽では、「イシガキフグ」を展示しています。
 イシガキフグは、温帯から熱帯の海に生息するハリセンボンのなかまで、伊豆諸島では食用としても利用されています。体にはたくさんのトゲがありますが、どれも短いもので、ハリセンボンのように立てることはできません。

 このイシガキフグは、昨年度展示して以来、一日の多くを岩の奥で過ごし、表に出てこない日が続いていましたが、このごろはよく出てくるようになりました。何かふっきれたことがあったのでしょうか。ずいぶん時間がかかりました。

 直接的な原因ではないでしょうが、彼の背中を後押ししたと思われる、ある出来事をご紹介します。
 先日底砂の掃除用として、水槽にマガキガイという巻貝を入れましたが、翌日の朝、粉々にくだけた貝殻が底に散らばっているのを発見しました。マガキガイを割って中身を食べてしまったのは、イシガキフグです。まさかあの引っ込み思案のイシガキフグが、こんなに大胆なことをするとは思いませんでした。被害にあってしまったマガキガイには、申し訳ないことをしました。

 フグのなかまの歯は癒合して板状になっており、そのうちハリセンボンのなかまは、上あごに1枚、下あごに1枚、合計2枚の歯をもっています。この歯はとても頑丈で、貝殻のような硬いものも簡単に噛みくだくことができます。
 この出来事があってからイシガキフグは、またごちそうが落ちているのを期待しているのか、水槽の底を探索しながら泳いでいるようすを見せるようになりました。食べ物をさがす本来の姿なのでしょうが、この期待にどう応えたらよいか悩みます。

 2012年の夏休みには、海の生きものの「歯」をテーマにした企画展を開催する予定です。詳細は後日、東京ズーネットでお知らせいたします。お楽しみに。

写真上:イシガキフグが食べたマガキガイの殻
写真下:食べた犯人「イシガキフグ」

〔葛西臨海水族園飼育展示係 高濱由美子〕

(2012年06月15日)



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