この冬は例年になく寒い日が続いています。2012年の3月も間もなく終わり、4月になろうというこの時期でも、通勤時に手袋が欠かせない毎日です。また、関東地方で春一番が吹かなかったことは12年ぶりとの報道もありました。そんな寒い日が続く今日この頃ですが、それでもゆっくりと春の足音が聞こえてきています。今回は、その一部をみなさんにご紹介したいと思います。
葛西臨海水族園には、屋外に「水辺の自然」エリアがあります。「池沼」「渓流」「流れ」という3つの展示構成となっていますが、今回は「流れ」についてご紹介します。
「流れ」は、関東地方の中流域河川をイメージした小さな人工の川です。長さは約200メートル、水量は約630トンです。ポンプを使って水を循環しているだけで、とくにろ過などはおこなっていません。
ここでは、水辺に生える植物をいろいろと植えてあります。春は1年でもっとも「命の躍動」を感じる季節でもあります。さっそく、順路に沿って話を進めましょう。
まず、このエリアで最初にみなさんを迎えるのは、オオシマザクラです。まだ蕾が小さいものの、日増しに大きくなってきています。この記事が出るころには一部が咲き始めるでしょうか。
進んで行くと、最初の橋が見えてくるのでまずはここで足を止めてみましょう。橋の右手の水辺を覗くと、ミツガシワが新芽を出し始めています。そのほかヨシやヒメガマにも新芽が見られるようになりました。
次に、もう少し川沿いを上流側へ歩いて2番目の橋に向かいましょう。橋の右手には遅れて出てきたフキノトウが所狭しと咲いています。橋の左手には、やっと花が咲いたフクジュソウが見えます。橋の先の左手には本日(3月25日)発見したカタクリが咲きそうです。
水族園からお帰りの際は、「水辺の自然」に足をのばし、この時期だけの小さい春を見つけてください。そこは「春のいぶき」でいっぱいです。
写真上:フキノトウ
写真中:フクジュソウ
写真下:カタクリ
〔葛西臨海水族園教育普及係 杉野隆〕
(2012年03月30日)
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