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キングペンギンの手ざわり
 └─2012/01/13

 ペンギンは野生動物なので、体を触られることが大嫌いです。ペンギンのうち体の大きくない種は、接近しただけですぐ逃げ出し、逃げられないときに攻撃に転じます。ところが、体の大きいギングペンギンは、最初から撃退しようと身構えます。そのため、たとえ飼育担当者であっても、治療など、やむを得ないとき以外には触れる機会がありません。

 ところが葛西臨海水族園では、キングペンギン(オウサマペンギン)に触ることができます。本物の羽の部分だけですが、十分に感触を楽しむことができるでしょう。それは、ペンギンの体について解説するときのため、小道具として作られた羽毛標本があるからです。

 ペンギンは1年に1回、全身の羽が生え換わります。これを「換羽」(かんう)と呼びます。標本は、水族園スタッフが換羽を使って作りました。抜け落ちた羽を集め、よく洗って乾燥させ、1枚1枚並べてタオル布に差し込み、根元を接着剤で固めました。1本の羽の長さは約2〜3センチ、羽軸の太さは約0.8ミリです。約6×10センチ大の布地に1,500〜1,600枚の羽が使われており、気が遠くなるような作業だったと思います。

 苦労の末できたものだということも思いながら、ぜひ感触を確かめてみてください。羽毛標本は、毎日12時半からペンギンテラスで解説スタッフがおこなうペンギンガイド中、「ペンギンの体」の説明に使われています。

写真上:キングペンギン
写真下:(左)背側の羽毛(右)胸から腹の少し長い羽毛

〔葛西臨海水族園飼育展示係 福田道雄〕

(2012年01月13日)



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