水族園で涼しさを求めるのなら、「海藻の林」の水槽前がお勧め。水槽の上部から差し込む光の中で海藻がゆらめくようすを眺めていると、暑さを忘れてしまいます。大きな海藻は「ジャインアントケルプ」。名前のとおり、茎の長さが60メートル以上にもなる巨大な海藻です。その他にも、ブルケルプなど、色も形もさまざまな海藻が生い茂っています。
じつはこの水槽、大規模な改修もふくめ、開園以来改良を重ねてようやく昨年ごろから育成が軌道にのったところです。海藻が生い茂る海の環境を水槽の中でつくりだすことは、それほどむずかしいことなのです。
海藻のゆらめきを堪能したら、水槽に近寄って観察してみましょう。海藻の合間に、ロックフィッシュ(メバルのなかま)やサーフパーチ(ウミタナゴのなかま)などの魚が、ゆったりと泳いでいるのが見えるでしょう。岩の上には、大きなイソギンチャクやヒトデが見つかるかもしれません。
多様な生き物をはぐくむ海藻の林──その景観の美しさとともに、生態的な豊かさや大切さも感じていただければと思います。
〔葛西臨海水族園調査係 天野未知〕
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