2010年も残りわずかとなりました。来年は卯年ということで、今回はウサギの話題です。
今年10月、奄美大島で開催された「クロマグロの養殖に関する国際シンポジウム」に参加してきました。じつは奄美大島はクロマグロ養殖のメッカなのです。南部の瀬戸内町には、クロマグロの養殖・研究施設が多くあります。冬でも水温が20℃程度を下回ることのない暖かくて綺麗な海水、養殖いけすを風波から守ってくれる入り組んだ海岸線、そして大島海峡を挟んだ加計呂麻島が天然の防波堤となって台風から守ってくれるなど、マグロの養殖に適した条件がそろっているのです。葛西臨海水族園のマグロの一部もここから運んでいます。
シンポジウムの発表は、日本のマグロに関することはもちろん、地中海やメキシコでのクロマグロ養殖の話やオーストラリアのミナミマグロ養殖についての最新事情など、興味深い話題が多くありました。
さて、シンポジウム終了後、奄美大島特有の生物を見たくて夜の森に入りました。一番のねらいは、国の特別天然記念物で環境省レッドリストの絶滅危惧IB類に指定されているアマミノクロウサギです。以前にも何度か姿を見たことはあるのですが、いずれも一瞬の出会いに終わっていました。今回はシーズンが良かったのか、一晩で8匹のクロウサギに出会い(もちろん同じ個体を何度も数えている可能性がありますが)、撮影することもできました。
◎アマミノクロウサギ動画
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ウサギの足の裏には、犬や猫のような肉球が無く、毛が密集して生えています。アマミノクロウサギの足の裏もいちめん毛に覆われていて、撮影をしているときには「あ~っ、あの足の裏、さわってみたい!」と感じていました。その後、機会があり、ふかふかのフェルトのような足の裏をさわることができましたが、しかし、あの温暖な島で、なぜあんなに暑そうな毛皮をしているのでしょうか?
写真上:クロマグロの養殖に関する国際シンポジウム
写真中:アマミノクロウサギ
写真下:足の裏が毛で覆われている
〔葛西臨海水族園飼育展示係 三森亮介〕
(2010年12月24日)