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タコクラゲを展示しました
 └─2010/10/01

 水族館の癒しの生き物といえば、「クラゲ」を挙げる人も多いでしょう。葛西臨海水族園の「東京の海」エリアでは、一般にもよく知られているミズクラゲを通年展示していますが、同じエリア内の中央付近で、タコクラゲの展示を始めました。

 タコクラゲは、夏から秋の初めにかけて、波の穏やかな内湾で見られるクラゲです。半球状の傘から伸びている口腕(こうわん:食べ物は口腕を伝って胃に運ばれます)は8本あり、その先には付属器とよばれる棒状のものが付いています。それがタコの足(腕)のように見え、また体の色も褐色をしているので、まさに「タコクラゲ」です。

 タコクラゲが褐色をしているのは、体の中で「褐虫藻」(かっちゅうそう)とよばれる藻類がくらしているからです。この褐虫藻が光合成で作り出した栄養をタコクラゲはもらっています。褐虫藻からの栄養以外にも、ほかのクラゲと同様、動物プランクトンも食べています。こうして得たエネルギーで、タコクラゲは水中をかなり活発に泳ぐことができます。

 一方、褐虫藻にとってはタコクラゲの体は安全な生活場所となっています。また、光合成に必要な二酸化炭素を効率よくもらうことができます。タコクラゲと褐虫藻が共に生活することは、お互いに利益があるのです。

 流れに身をまかせ優雅にただようミズクラゲに比べると、活発に泳ぐタコクラゲは少しせかせかしているようにも感じますが、どちらも水族園の人気者です。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 戸村奈実子〕

(2010年10月01日)



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