いつまで続くのかと思われた猛暑が終わり、涼しさを楽しめるかと思っていたら、一気に秋になってしまい、肌寒く感じられるときもあるほどです。
葛西臨海水族園「水辺の自然」コーナーには、秋の七草がいくつか見られますが、ススキもそのひとつです。身近にごくふつうに見られたススキですが、都会の近くでは見かけることも少なくなりました。空き地がなくなってしまったことがひとつの原因なのでしょう。
むかしは、かやぶき屋根の「かや」や牛馬の「まぐさ」(飼料)としてススキがおもに使われていました。このため、茅場(かやば)とか秣場(まぐさば)と呼ばれたススキ野原はわざわざ手入れをして維持されてきたのですが、近年はその必要もなくなり、ススキ野原も少なくなってしまいました。
ススキの帚(ほうき)のような部分は、尾花(おばな)とも呼ばれる花で、お月見の飾りには欠かせません。名前の由来はなにかの尻尾のように見えるからでしょう。「水辺の自然」には、よく似たアシ(ヨシ)も見られますが、より水に近いところに生えていて、花のかたちが違うので区別できます。さらによく似たオギ(荻)は「水辺の自然」には見られません。
本館で水槽をごらんになったあと、涼しくなった「水辺の自然」で秋を感じつつ、ススキを眺めてみてはいかがでしょうか。暑いときに見ても感じることはありませんでしたが、涼しくなってから眺めると風情があるから不思議なものです。
写真上:ススキの花
写真中:アシの花
写真下:「水辺の自然」エリア案内図
〔葛西臨海水族園飼育展示係 荒井寛〕
(2010年10月01日)
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