夏の行楽シーズンには、海辺の夜釣りを楽しむ方もいらっしゃることでしょう。暗いなかで釣り針をはずそうとして、獲物をむやみにつかもうとすると危険です。
たとえばゴンズイは、港の近くや磯などで比較的よく釣れますが、背びれと左右の胸びれにあるトゲには強い毒があるので注意してください。
ゴンズイはナマズのなかまです。8本の口ひげと、褐色のからだに4本(片側2本ずつ)の黄色い線が頭から尾にかけて走っているのが特徴です。大きくなると体長30センチメートルほどになり、黄色い線は不明瞭になる場合もあります。
ゴンズイは夜行性が強く、昼間は岩棚の奥や石の下などの暗いところに隠れていて、夜になると餌の小動物を求めて泳ぎ出てきます。
夜の港で、波のおだやかなときに海のなかを懐中電灯で照らすと、ゴンズイがたくさん集まっているのを見ることがあり、これを通称「ゴンズイ玉」と呼んでいます。ゴンズイ玉は、各ゴンズイが同じ方向を向いている場合と、それぞれが玉の中心に向かって潜り込むように入り乱れながらきれいな球形を作る場合があり、大きなものではバレーボール大にもなることがあります。夜の港をのぞく機会があれば、ぜひゴンズイ玉を探してみてください。
葛西臨海水族園では、「しおだまり」の小型水槽でゴンズイを展示しています。残念ながら「玉」になったようすはごらんになれませんが、実際のゴンズイの姿を覚えてから夜釣りをお楽しみください。危険なトゲをとってしまえば、てんぷら、からあげ、味噌汁などで食べるとおいしいといわれています。
写真上:ゴンズイのひげと黄色い線
写真下:「ゴンズイ玉」ができるとこんなふうになります。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 荒井寛〕
(2010年08月27日)
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