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毒をもつ生物(3)小さいけれど油断は禁物
 └─2010/08/06

 夏休み、海辺で魚釣りをしている子どもたちを見かけると、自分もやりたくなってしまう方、いると思います。私もそんなひとりなのですが「何が釣れるのだろう」とちょっとのぞいてみると、ハオコゼが釣れていることがあります。 ハオコゼは本州中部より南の海に分布しており、東京、千葉、神奈川など関東の釣り場で見かける魚です。
 ダイバーに人気のあるミノカサゴや2010年7月16日に紹介したオニダルマオコゼと同じカサゴのなかまです(記事はこちらから)。

 このなかまの特徴は、頭のまわりやひれにするどい棘(とげ)があり、ひれのその棘には毒を持つ種類が多くいることです。ハオコゼは背びれの棘に毒がありますが、それを知っていてもうっかり刺されてしまうことがあるようです。

 私もそんなひとりなのですが、そのときはハオコゼの“小ささ”に油断してしまいました。図鑑には「大きさ10センチメートル」と書かれていますが、私が刺されたのは、せいぜい5センチメートルくらいだったので、つい甘く見てしまったのです。小学生のとき、釣れたハオコゼを針からはずそうと針を持ってゆすった瞬間、「ピチッ!」と跳ねたかと思うと、触れた指が「チクリ!」と痛み、「ジーン」と熱くなって腫れてきました。まさに一瞬の出来事でしたが、その状況は今でもよく覚えています。幸いにも軽く刺されただけだったのか、その夜には痛みと腫れは軽くなり事なきを得ました。刺され方や刺された場所によって痛みと腫れの程度も異なりますので注意が必要です。

 ハオコゼは海藻の生えた浅い岩場などにもいますので、釣りだけでなく磯遊びのときも出くわすかもしれません。体の色がまわりとよく似ていますし、岩かげにひそんでいたりもしますので、むやみに岩の間に手をつっこまないように気をつけましょう。まずは、箱メガネのようなもので、何がいるのかじっくり観察してみることをおすすめします。

 葛西臨海水族園では「しおだまり」水槽で、“毒のある生物”として展示しています。まだ本物のハオコゼを見たことのない方は、その姿をじっくりと目に焼きつけておくといいかもしれません。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 金原功〕

(2010年08月06日)



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