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ハンゲショウ(半夏生)が見頃です
 └─2010/07/09

 みなさんは、葛西臨海水族園に淡水生物や植物を展示しているエリアがあるのをご存知でしょうか? 園内を観覧後、ガラスドームを後にして順路に従って進み、入園券を購入した売札所の手前を右方向に進むと、「水辺の自然」エリアがあります。
 この「水辺の自然」を、毎朝、出勤途中に観察するのが、じつは私の楽しみのひとつです。

 梅雨空がうっとうしい季節ですが、このエリアにある「流れ」(右図)で展示している植物のうち、ひときわ目を引く植物があります。
 「ハンゲショウ(別名カタシログサ)」です。この時期、茎の先のほうの2、3枚の葉は表側が白くなり、その先に稲穂状に多数の小さい花をつけます。橋の上から眺めるハンゲショウは、緑の植物が生い茂る中で白色が映えて、大変きれいで見頃です。

 ハンゲショウは川沿いの湿地を好む植物ですが、都内や関東周辺では自生地が減少しており、あらたに東京都(環境局)が発表した「東京都の保護上重要な野生生物種(本土部)」(東京都レッドリスト2010年版)では、絶滅危惧IA類に指定され、「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い」植物として掲載されています。

 さて、半夏生とは、もともと中国でつっくられた暦の一つで、夏至(2010年は6月21日)から数えて11日目の7月2日ごろから七夕(7月7日)ごろまでの5日間のことをいいます。このころになると、半夏とも呼ばれるカラスビシャクが花をつけるため、暦の上で半夏生と言いなわされるようになったようです。

 ハンゲショウという名は、半夏生の時期に花が咲くことに由来するという説や、葉の表面だけ(半分だけ)が白くなるためにハンゲショウ(カタシログサ)と呼ばれるようになったという説があります。

今後「水辺の自然」の植物や生き物たちを季節にあわせて紹介していきたいと思いますので、お楽しみに。

〔葛西臨海水族園調査係 杉野隆〕

(2010年07月09日)




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