みなさんが「マグロ」と聞いて思い浮かぶものは、ネギトロや鉄火巻きなどおいしい食べ物ではないでしょうか。日本の食文化とマグロの関わりは長く、縄文時代の貝塚から骨が出土した記録もあります。そして、江戸時代の終わりころから、江戸前寿司のネタとして、広く一般に普及し始めたといわれています。
さて、みなさんはこのおなじみの魚「マグロ」についてどのくらい知っていますか?
マグロって何種類いるの? マグロは止まらないってホント? 今回は身近だけど意外に知らないマグロについてのお話です。
世界の海には8種類のマグロのなかまがいます。その中でも葛西臨海水族園で飼育しているのはクロマグロです。大きなものは体長 2.5メートル、体重は350 キログラムにも達します。餌は魚やエビ、イカなどで、自分がすんでいるところにいるものは何でも食べます。
そして、外洋を休むことなく、生まれてから死ぬまで泳ぎ続ける生活をしています。なかには日本近海から太平洋を越えて、はるかアメリカのカリフォルニア沖まで行って、再び日本近海へ帰ってくるものもいます。
このように大海原を一生泳ぎ続けるクロマグロの体には、泳ぎ続けるためのくふうがあるのです。体型はラグビーボールのような形をしていますが、これは水中を高速で泳ぐための、水の抵抗を少なくする形です。
そして、第一背びれ、腹びれ、胸びれの付け根には、溝やくぼみがあり、ひれを収納することができます。こうして、できるだけ体から出っ張りを無くすことにより、さらに水の抵抗を小さくしています。
また、体温を周囲の水温より、ある程度高く保つことができる機能を持っていて、低い水温の中でも高い運動能力を維持することができます。
このように、クロマグロは泳ぐために進化した、海の遊泳マシーンなのです。
今度のお休みはクロマグロたちに会いに、葛西臨海水族園にいらしてくだい。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 雨宮健太郎〕
(2010年06月18日)
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