ヒメコウホネは関東以西のため池や小川に生息している多年生のスイレン科の植物です。葛西臨海水族園では「水辺の自然」エリアの「池沼」に展示していますが、4月の下旬から花が咲くようになりました。
咲いている場所は「池沼」展示、中央部の浅瀬部分です。花は黄色で水面から突き出すように咲いています。
池沼の展示は水中と陸上の両方の景観が楽しめるようになっています。少しかがんで水の中を観察してみると、水中の葉(水中葉)と水面の葉(浮葉)の形が違いますが、どちらも同じヒメコウホネの葉です。
水辺の植物の多くが減少している現在、ヒメコウホネも例外ではありません。環境省ではヒメコウホネを絶滅危惧種II類に指定しています。野外で希少な植物が生息している場所は、昔ながらの生息環境が維持されている場所ともいえるでしょう。こうした水辺では他にも多様な動植物が生息していることが多く、将来に残しておきたい貴重な場所だと思います。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 橋本浩史〕
(2010年05月07日)
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