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きれいな色は何のため?
 └─2009/10/09

 サンゴ礁には、赤、青、黄色、緑色といったカラフルで派手な色をした魚が泳ぎまわっています。中でもチョウチョウウオのなかまは、とてもきれいで目立つ体色をしていますが、どうしてでしょう? 自分を目立たせると有利になることがあるのでしょうか? ちょっと考えてみてください。

 目立つ色をしていると、敵に見つかりやすかったり、襲われたりする危険性が高くなると思いませんか? でも、不利なことばかりではなく、有利になることがいくつもあると考えられています。

 まず、チョウチョウウオのなかまの多くが生活するサンゴ礁を見るとわかります。とても派手な色をしているカイメンのなかま、カラフルなサンゴのなかまなど、色とりどりの生物がたくさんいる環境では、目立つ体の色が逆に敵に見つけられにくい保護色やカムフラージュの効果をもつと考えられます。

 つぎに、冷たい海にくらべて、サンゴ礁にはとてもたくさんの種類の魚が集まっています。このような環境で、同じような色をした魚ばかりだと、どうなるでしょうか? オスの場合、自分と同じ種類のメスを探したり、逆にメスは自分と同じ種類のオスを探すのがとてもむずかしくなります。けれども、ほかの種類とはっきりと区別できる、目立つ体の色をしていれば、オスもメスもおたがいパートナーを見つけやすく、繁殖できるチャンスが多くなります。

 さらに、チョウチョウウオはなわばりをもつ習性があるので、自分のなわばり内に入ってきた同種とは激しく争います。このとき、なわばりの外からでも見わけがつく色をしていると、不必要な争いを避けることができるのです。

 このほかにも、魚の体の色にはいろいろな意味が隠されています。きれいな魚を見ながら、「この魚、どうしてこんな色をしているの?」と考えてみるのも、水族館を楽しむ方法のひとつでしょう。

写真上:レインフォルズバタフライフィッシュ
写真下:トゲチョウチョウウオ

〔葛西臨海水族園飼育展示係 牧茂〕

(2009年10月09日)



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