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海で採れた透明魚!?──4/5
 夏、清流、スイカに風鈴。これらの言葉から魚を思い浮かべるとしたら、みなさんはどんな魚を連想されるでしょうか? わたしの勝手な推測ですが、清流の女王とも呼ばれる「アユ」を連想される方も多いと思います。

 この、夏の清流の代表ともいえるアユが水族園のすぐ目の前の海で採れた、と聞いたら驚かれるでしょうか。右の写真をごらんください。写真からわかるとおり体が透明に透き通った魚は、じつはアユの幼魚なのです。みなさんよくごぞんじのアユは、一生を川で過ごすわけではなく、こどものときの一時期を海で暮らしているのです。

 アユの生活史を簡単に説明しましょう。夏、川底の石につくコケなどを食べて大きくなった大人のアユは、秋になると川の中・下流までおりてきて産卵します。卵からかえった赤ちゃんアユは、川に流されて海に出るのです。そして秋の終わりから翌春にかけて海で育った子どもは、3~5月ごろに川をのぼり、ふたたび川での生活に入ります。

 アユの場合、海で過ごしている幼魚の時期は、写真のとおり透明な体をしています。これは、体が小さくて泳ぐスピードもあまり速くない時期に、自分をおそう敵から見つかりにくくする効果があると考えられます。

 水族園では毎月、葛西臨海公園の西なぎさで地引き網による生物調査をおこなっていますが、3月の調査では、アユの幼魚がたくさん採れました。現在、体が透明なこれらのアユを「東京の海」エリア2階にある「水族園周辺の海」水槽で展示しています。いまの季節だけの期間限定展示なので、お早めにご覧ください。

〔葛西臨海水族園調査係 三森亮介〕



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