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オニヒトデは悪者?
 └─2009/08/21

 葛西臨海水族園「東京の海エリア」では、8月中オニヒトデの展示を行なっています。オニヒトデはサンゴ礁の海に生息し、サンゴを好んで食べるヒトデです。体中に強い毒のあるトゲがあり、見るからに危険な生き物です。

 1960年ごろから、オニヒトデの異常発生による問題が騒がれ始めました。サンゴがたくさん食べられてしまうと、美しいサンゴ礁の景観が失われてしまうとともに、サンゴ礁を餌場や隠れ場として利用している生き物も減ってしまいます。そんなオニヒトデは「悪い生き物」として見られがちですが、異常発生する原因として、人間の生活が関わっているかもしれないのです。

 ほとんどの生き物は、大きくなるまでに他の生き物に食べられたりして、おとなになれる個体はごくわずかです。しかし、生存を妨げるものがなければ数が増え、「異常発生」といえるほど生き残ってしまいます。

 原因として、水質汚染によりオニヒトデの子どもを食べる生き物が減ったことや、オニヒトデの子どもの餌となる植物プランクトンが、私たちの生活排水に含まれる栄養分によって増えたことが挙げられることもあります。しかし、今のところ、異常発生の原因ははっきりとはわかっていません。

 海でのくらしについて、まだまだわからないことが多いオニヒトデですが、水槽でじっくり観察してみてください。ヒトデの特徴であるたくさんの「足」や動き方、「口」の位置などが間近で見られますよ。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 鈴木聡子〕

(2009年08月21日)



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