ニュース
江戸前の魚「マアナゴ」
 └─2009/06/26

 葛西臨海水族園の東京の海コーナー「東京湾の漁業」水槽に、あたらしくマアナゴを展示しました。この水槽では、マアナゴのほかに、マイワシやイシガレイなど、東京湾で獲れる魚を中心に展示しています(写真)。

 アナゴと聞くと、寿司や蒲焼き、てんぷらなどを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。アナゴというと、ふつう「マアナゴ」のことをさします。マアナゴは昔から食用とされており、東京湾でも代表的な魚の一つです。ウナギと同じように、マアナゴの血液中にも弱いタンパク毒があります。火を通すと毒性がなくなるため、マアナゴは一般的に、蒲焼きやてんぷらにして食べられます。

 東京湾ではかつてウナギなどをとるために、ウナギの習性を利用して筒をしかける「ポウポ漁」がおこなわれていました。また、今もマアナゴ漁では「アナゴ筒」(入ったら出られない仕掛けがある筒)が使われています。こうした道具をイメージして、水槽内に竹筒を組んだものを入れ、そこに全長約40センチのマアナゴを12匹入れました。

 しかし、マアナゴは筒に入らず、すべて砂の中に潜って隠れてしまいました。数日経つと、しだいに筒の中に入るようになり、今では砂に隠れて顔だけ出していることもありますが、多くの個体が筒の中に寄り添って隠れています。

 「東京湾の漁業」の水槽に餌を与えるときは、まずマイワシに細かい餌を与えます。その後、水槽の上層を泳いでいるマイワシに餌をとられないよう、水面から底まで届く長い塩ビ管を入れ、その中を通して餌を底に落としてやります。すると、マアナゴは筒や砂の中から出てきて、餌を探して泳ぎ回り、イシガレイやケスジヤドカリとの餌争奪戦が始まります。

 慣れてきたためか、今では塩ビ管を入れるだけで、マアナゴが筒から出てくるようになりました。最近は、マイワシに餌を与えると、それだけ筒から出てきて泳ぎ回り、水面まで上がってくるマアナゴもいます。餌はサクラエビやオキアミ、アサリや生きたゴカイなどで、毎日午後にあたえています。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 小木曽正造〕

(2009年06月26日)



ページトップへ