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タマカイウォッチングのすすめ──4/16
 わたしたちは、ふだんの生活で自分よりも大きな生き物を間近に見るチャンスというのはまずありません。でも、動物園や水族館だったら、柵やアクリル板ごしとはいえ、間近に大きな生き物の迫力を感じることできます(柵やアクリルごしじゃなかったら、恐怖で逃げたくなりますね……)。

 たとえば、ゾウやジンベイザメの圧倒的な大きさも、間近で実感することができるのです。それほど大きくなくても、とにかく「大きい」ということは人をひきつける力があるようです。
 「世界の海」のコーナー、「南シナ海」の水槽に先月から登場した「タマカイ」という魚も、来園者はまずその大きさにひきつけられます。成長すると全長2メートル以上にもなる超大型のハタのなかまで、展示されている個体も 1.5メートル近くあります。ぎょろりとした目に、大きな口。ゆったりとした動きは堂々としていて、そのせいか実際よりもさらに大きく見えます。

 さらに大きいことは、見る側にとって、いいことがあるんです。まず、体のいろんなところがよく見えます。それに、目の前をス~っと泳ぎ去ってしまうマグロとはちがって、たいてい水槽中央、アクリル板近くにドデ~ンと浮いています。体表にならんだウロコの数を、アクリルごしに数えられるほど間近でじっくりと見ることができるのです。タマカイは、観察するのにぴったりの魚!というわけです。
 たとえば、自分の体にあるものがタマカイにもあるのかさがしてみましょう。目はすぐに見つかります。私たちの目とちがうところは? まぶたやまつげはありますか? どうしてぎょろぎょろと動かせるのでしょう? 口をのぞいてみると歯がよく見えます。どんな歯をしてますか? この歯で何を食べているのでしょう?

 なんと、鼻の穴もよく見えます。いくつあって、どんな形をしていますか?手や足はないけれどヒレがあります。体のいろんな場所にいろんな形のヒレ。マグロのヒレの形とくらべてみるのもいいかもしれません。
 たまにしか泳ぎませんが、そのときはどのヒレを動かしているか見てみましょう。ほかにも、耳やおしりの穴など、いろいろとさがしてみましょう。

 こんな具合にじっくりみてみると、おもしろい発見がたくさんあります。魚の体がどうなっているのかを観察するには、タマカイがおすすめ。その迫力を味わうだけでなくて、ぜひタマカイウォッチングをやってみてください。大きいっていいなあ~。
〔東京動物園協会調査係 天野未知〕



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