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ペンギンひなとひな祭り
 └─2009/02/28

 3月の行事といえば「ひな祭り」。ひな人形を飾り、桃の花をめでながら、白酒やひしもちなどの飲食を楽しむ女の子の節句です。すでに、ひな壇を飾られているご家庭も多いことでしょう。

 このひな祭りの「ひな」は、漢字で書くと「雛」。この字は、鳥類学的には卵から孵化し、最初の「正羽」が生えそろうまでの段階をさします。一般的には、巣立つまでの幼鳥のことを雛と呼んだりすることでなじみがあるでしょう。

 葛西臨海水族園は「水族園」と名がついていますが、ペンギンやエトピリカ、ウミガラスなどの鳥も飼育しています。このうち、フェアリーペンギンが今年もすでに繁殖し、この原稿が配信されるころには「ひな」のすがたが見られるはずです。ひなの誕生については、こちらのニュースでも紹介しました。

 葛西には、フンボルトペンギン、イワトビペンギン、そして、フェアリーペンギンと3種のペンギンがいますが、フェアリーペンギンはこの中でもひときわ小さなペンギンです。どれほど小さいかというと、成鳥は背丈が40センチほどで、ほかの2種のペンギンの子どもかとまちがわれてしまうほどです。

 ところで、鳥の「ひな」は「正羽が生えそろうまで」ですから、「ひな」といえば、ふわふわの綿毛にくるまれたすがたを思い浮かべるかもしれません。しかし残念ながら、ペンギンが巣穴から出てくるころ、すでに親やほかのおとなとほぼ同じ「正羽」になっています。ただ、すこし小ぶりで青黒く、首のまわりにちょっとだけ残っている綿毛が目印になるので、じっくりごらんになれば、きっと見わけがつくでしょう。

 元来、ひなまつりは、一生の厄災を人形に肩代わりさせる神事が起源とされていますが、最近は女の子の成長を祝い、また見守るといった意味合いもあるようです。葛西臨海水族園のペンギンの「ひな」の成長もあたたかく見守ってやってください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 飛田英一郎〕

(2009年02月28日)



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