「深海」という言葉をよく耳にしますが、いったい「深海」とは、どのくらいの深さをさすのでしょう? 一般的には 200メートルより深い海を「深海」と呼びますが、じつは厳密な定義はないようです。
深海の生き物には巻貝、カニ、ウミグモ、ナマコ、ウニ、ヒトデ、ホヤ、魚などがありますが、このうち採集して飼育するのがいちばん大変なのは「魚」です。深海の魚は、採集時に急激な水圧の変化を受けたり、浮き袋の急激な膨張に見まわれたりすると、死んでしまうからです。
では、どうやって採集し、どうやって展示するのか? 方法は三つあります。
一つめは、夜間浅いところに垂直移動して来たものを釣りなどで採集する方法です。タチウオやキンメダイはこの方法で採集します。
二つめは、魚がまだ子どものころ、流れ藻などについているのを採集し、育てる方法です。この方法は、メダイなどの採集に利用します。
三つめは、飼育・展示している魚が産んだ卵を育てる方法です。
これらの方法で採集すると、深海の魚は水圧をかけなくても展示できるのです。答を聞くと、「コロンブスの卵」のごとく、「な~んだ!」と思ってしまうかもしれませんが、いずれの方法も、さまざまなタイミングがうまく合わないと採集できないため、これはこれで大変な苦労がつきまとうのです。
さて、深海にくらす魚の採集方法がわったところで、葛西臨海水族園でもう一度深海の水槽を見てみましょう。キホウボウ(写真)一つを見ても「どうしてこんな変なかたちをしているの? どうして底を這って動いているの? なぜ、どうして?」──生き物に対するギモンがいっぱい思い浮かびませんか? それを解くカギが、じつは葛西臨海水族園の「情報資料室」にあります。
「展示生物を見るだけ」が水族園の楽しみ方ではありません。ご来園の際は、ぜひ「情報資料室」にも足をお運びください。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 伊東二三夫〕
(2009年02月20日)
|