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おしゃれなヒゲをもつ魚たち
 └─2008/12/12

 葛西臨海水族園で水槽の魚たちを観察すると、顔、模様、大きさなど、みんなそれぞれちがいます。その中でも、ある特徴を持った魚たちを紹介します。

 まずは、東京の海エリア「礁」水槽にいるオジサンという魚。下あごに長く立派な2本のヒゲがあります。このヒゲは、私たちから見るとユニークで面白いのですが、オジサンにとっては餌を探すための大事な器官なのです。

 ふだんは海の底のほうで暮らしているオジサンは、底に棲んでいるエビやゴカイなどの小さな生き物を餌としています。このヒゲは、人間にたとえると舌のようなもので、ヒゲが触れたものの味がわかるのです。餌を探すときにヒゲをピョコピョコ動かし、おいしそうな餌を見つけたらぱくっと食べます。

 同じく東京の海エリア「伊豆七島2」水槽にいるテングダイにも、下あごに餌を探すためのヒゲがついています。オジサンとはちがい、テングダイには短いヒゲがたくさんついており、まるで無精ヒゲです。テングダイのヒゲは、オジサンとはちがって、器用には動きません。

 さらに、この水槽には、全身ヒゲだらけのヒゲハギもいます。比較的浅いところに生息するヒゲハギのヒゲは「擬態」の一種です。つまり、水面近くに浮いている海藻など、まわりの環境と見分けがつきにくくなるためのカモフラージュの役目をしています。

 魚たちのヒゲは、人間に負けないくらいおしゃれですが、生きていくために必要なもの。葛西臨海水族園にお越しの際は、ヒゲをもつ魚を探してみてください。なかなか個性的ですよ!

写真上:オジサン
写真中:テングダイ
写真下:ヒゲハギ

〔葛西臨海水族園飼育展示係 鈴木聡子〕

(2008年12月12日)



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