アジアゾウのはな子の動物舎の隣にある熱帯鳥温室入口前の大きなユーカリの木。中央線・総武線の電車からも見ることができ、文化園のシンボルの一つでもありますが、この木の下に、アロエを巨大にしたような「アオノリュウゼツラン」の株があります。これまで注目されなかったこの植物が、今年花を咲かせようとしています!
◎リュウゼツラン科の植物は、メキシコを中心に米国南西部と中南米の熱帯域に自生し、 300種以上あるといわれています。原産地では厚い葉から繊維を取り、ロープや布を作ったり、葉と根を切り落とした茎からお酒(テキーラ)を作ったり、有用植物として利用されています。
◎日本には江戸時代に渡来したといわれ、トゲのある厚く長い葉を竜の舌にみたて「竜舌蘭」と書きます。英語では 100年に1度だけ花を咲かせて枯れるといわれ、「センチュリープラント」(直訳:「世紀植物」)と呼ばれています。実際には熱帯地域で10~20年、日本では30~50年くらいで開花するようです。いずれにしても、なかなか見る機会の少ない、とても珍しい花です。しかもこの花が2株咲こうとしているのです。
◎いつ植えられたのか調べたところ、1962年に開設した熱帯鳥温室の現在のサボテン室に植えられていました。1994年にサボテン室の改修工事をした際、室内から現在のユーカリの下に移植されました(写真上)。推測すると、50年以上は経っていると思われます。
◎成長記録(2008年5月~6月)
5月23日
葉の中から顔を出した花茎を見つけました。このとき、
大きい方の株は、すでに花茎が 1.5メートル以上伸び
ていていました。小さい方の株は、葉の中に花茎が顔
を出そうとしていました。
05月25日 大:390センチ、小:まだ花茎は葉の中
05月28日 大:442センチ、小:285センチ
06月08日 大:527センチ、小:393センチ
06月25日 大:693センチ、小:567センチ
一日平均9.15センチ、ときには10センチ以上伸びている日もあります。どこまで伸びるか楽しみですが、台風で折れてしまうのが心配です。
◎いつ咲くか?──気温や天候にもよりますが、7月中旬以降ではないかと予想しています。薄黄緑の花を咲かせるでしょう。咲き始めてから1か月~1か月半くらいのあいだ、花を楽しめると思われます。
熱帯鳥温室の歴史と共に歩んできたアオノリュウゼツランが、長い年月をかけいよいよ開花です! どれくらい高くなるか、いつ咲くのか、とても楽しみです。突然現れた自然が生んだツインタワー。この夏の思い出に! 夏休みの自由研究材料に! みなさんの記憶に残ると思います。今まで見たことのない方、ぜひお見逃しなく!
職員一同、開花を楽しみにしていますが、私たちよりも文化園に長く住んでいるハナコがいちばん首(鼻?)を長くして楽しみにしているかも、と考えるとますます楽しみになりますね! 今後の経過も継続して報告します。乞うご期待!
写真上:1994年、室内から現在のユーカリの下に移植
写真下:2008年06月26日撮影
〔井の頭自然文化園施設係 星野真一〕
(2008年06月27日)
|