毎月1回、おもに小学生を対象におこなっている「文化園いきものクラブ」。8月のテーマは「夕暮れの文化園たんけん」です。午後5時、お客さんのいなくなった園内に入って、さあ出発!
日が落ちて涼しくなり始めた閉園後、動物たちはいったい何をしてるのでしょう? 「イノシシはいつも寝てばかりいるけど、今はどうしてるかなあ?」なんて声が聞こえてきました。みんなで見に行ってみると、やっぱり寝ていました……。「リスの小径」では、昼間の暑さにグッタリしたリスのすがたとはうって変わって、みんな活発に走り回っています。サル山へ行くと、サルたちはこんな時間にたくさんの人がやってきたことをいぶかしむ表情でこちらを眺めています。
徐々に薄暗くなってきました。「熱帯鳥温室」前の広場へ移動すると、私たちを待っていたかのようにコウモリが登場。「バットディテクター」という、コウモリの超音波を人間が聴くことのできる音に変換する器械を使って、順番にコウモリの声を聴きました。コウモリは私たちの頭上ちかくまでヒラヒラと近寄っては離れ、まるで遊んでいるかのように見えました。
さて、そろそろカラスウリの花が開くころ。秋に真っ赤に色づくカラスウリの実はなじみ深いものかもしれませんが、夏の日没後に開く花もとても美しいものです。白いレースを広げたような花をいくつも見ることができました。
気がつくともう真っ暗闇。あんなに騒がしかった「リスの小径」はシーンとして、動くものの気配はありません。そーっとライトで照らしてみると、巣箱から顔をのぞかせているリスたちや、木の枝にとまって休むヤマドリの迫力あるからだを間近で観察できました。ふだんなかなかすがたを見せないイシガメは、静かに水路を歩いていきます。そのとき、リスの巣箱によじ登るセミの幼虫を発見! これから羽化するための場所を探しているのでしょう。
そして最後のお楽しみは、日没前に準備しておいたライトトラップです。大きなシーツを張り、ライトの光をあてたしかけには、どんな昆虫が集まっているでしょうか。アオカナブン、トラップのてっぺんに堂々ととまっているトノサマバッタなど、数種類の昆虫を見ることができました。
こうして、ふだん見ることのできない夕暮れの動物園を探検した参加者は、大満足で帰途につきました。
この、動物解説員による「文化園いきものクラブ」は、小学生とその保護者を対象に、毎月第2土曜日(5月~2月まで)、さまざまなテーマで文化園のいきものを調べます。次回は2007年9月8日(土)、テーマは「井の頭池の水の中」です。また、秋には一般の方を対象にした「夕暮れ動物園たんけん」を実施する予定です。
〔井の頭自然文化園教育普及係 高松美香子〕
写真上:カラスウリ
写真下:ライトトラップ
(2007年8月24日)
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