井の頭自然文化園の「リスの小径」では、広いケージの中に約80頭のニホンリスが放し飼いになっています。この中には、リスだけでなく、ヤマドリやコジュケイ、クサガメなど、多くの生き物が同居しています。
この「リスの小径」にくらす2羽のコジュケイが今年初めて産卵し、3羽のひなが孵化しました。コジュケイはウズラほどの大きさで、「チョットコイ!」と聞きなしされる、特徴的な鳴きかたをします。
これらコジュケイは、昨年(2006年)5月から「リスの小径」でくらすようになりました。雌雄のペアは、餌を食べるときも休むときも、いつもいっしょに行動していました。
最初に産卵があったのは2007年5月3日。ケージ内の通路に、ウズラの卵ぐらいの大きさをした白い卵が落ちていました。その後も頻繁に卵を目にしましたが、見つけたときには割れていたり、池の中に落ちていたり……。そんな中で、無事割れずに残った三つの卵を孵卵器に入れたところ、すべて孵化しました。
孵化したばかりのコジュケイのひなはとても小さく、ヒトの女性の親指の長さほどしかありません。卵もひなも小さいのです。ふつう、孵化したひなは個体識別のために足にカラーリングを付けますが、コジュケイのひなは小さすぎてリングをつけることができません。そこで、頭部にマジックで「赤」、「黒」、「色なし」と印をつけました。その後、野生生物保全センターで卵の殻から性別を調べてもらい、オス2羽とメス1羽であることがわかりました。
現在、ひなは孵化後約1か月。にぎりこぶし大に成長しました。大きくなったとはいえ、まだまだ小さいので、みなさんの前にデビューするにはもう少し時間がかかりそうです。しかし、いずれは親鳥のように歩き回るすがたが見られることと思います。
〔井の頭自然文化園飼育展示係 水谷京子〕
(2007年7月13日)
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