◎文化園四季折々
先月(2007年4月)、園内のツバキの木でメジロの巣が見つかりました。茂った葉のあいだに、じつにうまく、目立たないように作ってありました。親がひなに餌を運ぶようすも観察することができました。
ところが先日、このメジロが、親子ともどもこつぜんと姿を消してしまったのです。たしかなことはわかりませんが、木の周囲でアオダイショウが目撃されたことから、ヒナが食べられてしまった可能性もあります。残念ですが、このような自然の営みが起こるのも、自然が残る当園ならではといえるでしょう。
さて、空き家になったメジロの巣。せっかくなので枝ごとはずして観察してみることにしました。大きさは直径6センチ、高さが6センチていどで、女性の手のひらをお椀状にしたようなかたちをしています。
巣材としては、繊維状になった植物やコケ、動物の毛などの自然物とともに、荷造り用ビニールひも、ティッシュなどの人工物も使われています。巣の外壁は、茶色い繊維状植物をベースに、コケやティッシュをたくみに織り込んだ迷彩柄を呈し、カモフラージュを完璧なものにしています。また、巣を枝に固定する部分には、丈夫なビニール紐が使われていました。
自然物と人工物をうまく組み合わせて作ったみごとな巣でした。今回の不運にくじけず、あらたな巣を作って繁殖してくれることを願っています。
〔井の頭自然文化園教育普及係 福士志乃〕
(2007年6月1日)
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