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文化園でお花見を──2007/03/25

◎文化園四季折々

 2007年3月20日、気象庁が東京都心でのサクラ開花を宣言しました。この開花観測には靖国神社のソメイヨシノがもちいられ、1本の木で5輪ほど咲くと「開花」です。同じ日、井の頭自然文化園でも、サル山前のいちばん日あたりのよいソメイヨシノが数輪咲きました。いよいよお花見のシーズンです。

 サクラは品種によって開花時期が違います。文化園の園内にはソメイヨシノのほか、カンヒザクラ、サトザクラ、シダレザクラ、ヤマザクラなどがあり、濃いピンク色のカンヒザクラは先週満開、すでに多くは散ってしまいました。ニホンカモシカ舎内のカンヒザクラはやや開花が遅く、今週末まではどうやら花の名残を楽しめそうです。いまちょうど満開なのがシダレザクラ。モルモットコーナーやアムールヤマネコ舎の近くで風にそよぐ姿が風流です。

 お花見の主役といえば、なんと言ってもソメイヨシノでしょう。江戸時代末に染井村(現在の豊島区駒込あたり)で誕生した「江戸っ子」の品種です。日本中にあるソメイヨシノはタネから芽を出して育ったのではなく、じつは株分けによって広まったクローン植物で、遺伝的特徴が同じなので気温とともに桜前線が北上するのです。文化園の園内ではサル山の周辺とゾウ舎の前にソメイヨシノが集中しており、ただいま(3月22日)一分咲きといった状態ですが、来週中頃には満開をむかえ、息をのむほどあでやかな景色になるはずです。

 さて、お花見の場所としては上野公園や井の頭恩賜公園が有名で、シーズンともなると混雑で歩くのがむずかしいほどです。アルコールのにおいや、宴会場の雰囲気が苦手な方もいらっしゃるでしょう。そこでおすすめしたいのが、井の頭自然文化園でのお花見です。隣接する井の頭恩賜公園よりずっと静かで、小さなお子さんとごいっしょでもお楽しみいただけると思います。

 園内のソメイヨシノは今週の土日におそらく三分~五分咲き、来週の土日を過ぎると散りつつあるでしょう。ただ、文化園はあくまで動物園です。まわりのお客様のご迷惑となりますので、どうか「宴会」はご遠慮ください。火気の使用も禁じられています。ご家族やお友達とお弁当をもって、ゆったりとおだやかなお花見をできるのが、文化園ならではの楽しみ方です。

 「今週も来週も忙しくて……」という方も、サトザクラなら間にあいます。サトザクラはソメイヨシノより1週間ほど開花が遅く、再来週あたりが見ごろでしょう。少し濃い色でボリュームのあるサトザクラは、ヤクシカやタンチョウがいるハビタット(大放飼場)周辺に植えられており、その下にはちょう手ごろなテーブルとイスもあります。吉祥寺のカフェでテイクアウトのランチを買ってお花見などいかがでしょうか。

〔井の頭自然文化園施設係 揚石優/教育普及係 井内岳志〕

写真上:2007年3月22日のソメイヨシノ
写真中:2005年4月8日のゾウ舎前
    (2005年の開花は3月31日でした)
写真下:本園サクラマップ

(2007年3月23日)

3月24日追記:2007年3月24日(土)午前9時30分の、井の頭自然文化園開花状況は、サル山前のソメイヨシノが一部のみ1分~3分咲きで残りは開花直前、ゾウ舎前のソメイヨシノは開花直線、シダレザクラは満開~散りつつある、ヤマザクラは一部のみ1分咲きで残りは開花直前、サトザクラはまだすべてツボミです。

3月25日追記:2007年3月25日(日)夕方の開花状況も追記してお伝えします。サル山のソメイヨシノは一部5分咲きで残りは開花直後~1分咲き、ゾウ舎前のソメイヨシノは開花直後、シダレザクラとカモシカ舎のカンヒザクラは散りつつある状態、ヤマザクラは一部のみ3分咲きで残りは開花直前、サトザクラはまだツボミです!



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