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カンムリエボシドリ、3回目の繁殖
 ──2007/03/23

 井の頭自然文化園・熱帯鳥温室のカンムリエボシドリは、昨年(2006年)初夏の5月に産卵、6月孵化し、日本初の繁殖に成功しました。また、秋に入って9月に産卵、10月に孵化して、2度目のひな誕生となりました。鳥類ではペアの相性がよくて栄養条件などに恵まれれば、つづけて繁殖するが知られていますが、なんとこのたび3度目の繁殖に成功、先日ひなが無事巣立ちました。

 今回の産卵は2007年1月11日、孵化は2月8日、巣立ちは3月12日です。成長のようすはこれまでとそれほど変わりませんが、先に生まれた兄が子育てに協力したところが大きなちがいです。昨年6月に孵化した最初のひなはオスで、2度目の繁殖の際もひなに近づいて興味津々でした。

 エボシドリのなかまは若鳥が親の子育てを手伝うことが知られていますが、前回は直接の手伝いはせず、両親がひなに餌を運ぶと自分もねだるほどでした。しかし今回、最初に生まれたオスがひなに餌を運んで給餌する行動が、2007年2月21日に確認されました。最初の子どもはすでに孵化後 250日を超え、羽やクチバシの色もほぼ大人と同じ「若鳥」です。

 2度目に生まれた子どもは孵化後 150日ほど経ちました。やはりひなに興味を持ち、巣に近づきますが、給餌はしません。なお、両親(とくにメス)は、若鳥がひなに近づくのをいやがっていたようですが、だんだん黙認するようになり、巣立ち直前には若鳥があたり前のように毎日給餌するほどでした。

 カンムリエボシドリの餌はバナナ、ブドウのほか、栄養補給用にドッグフードやトキ用固形飼料も与えています。また、温室栽培のガジュマルやビロウ、ゴムの木の若葉もさかんに食べています。3月12日の巣立ち後、両親、兄(孵化後280日ほどの若鳥)、前のひな(孵化後170日ほど)、今回のひな(孵化後40日ほど)の5羽で並んで枝にとまっていることもあります。家族で「群れ」を作りつつある温室のカンムリエボシドリ、今なら成長にともなう羽の色のちがいも直接観察することができます!

〔井の頭自然文化園飼育展示係 木崎恒男〕

写真上:2007年3月11日
写真下:2007年3月16日

(2007年3月23日)



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